電車に乗って、先輩の家に向かった。閑静な住宅地の中に建つ、可愛らしい白塗り壁の一軒家。

誰もいないと言っていた通り、駐車場は空っぽだった。


「お邪魔しまーす……」

「――ワン!」

「……わ!?」


入って早々、柴犬が出迎えてくれた。もこもこした毛玉みたいな生き物が、リナの足元をくるくる回り続ける。


「か、かわいい~~……」

「そこ、洗面所あるから手洗って。2階の向かって右側が俺の部屋だから入って待っててくれる? 飲み物と一緒にタローもつれてくから」

「ありがとうございます。タローてこの子の名前?」

「そう。今8歳だったかな」

「へ~じゃあ結構お兄さんだ……人間で言ったらリナより年上かな~」


リナのうしろを興奮気味についてくるタローくんに癒されていると、先輩がちょっと安心したように笑ってリビングの方へ入っていった。