が、別に教室も逃げ場じゃなかった。
クラスの女子に「いつのまに」とか「あの遊び人と噂の先輩をどうやって落としたの」とか問い詰められたからだ。マルが会話に入って助け船を出してくれなかったら辛かった。
その後もリナを見に教室の前までやってくる、別クラスや2年生の女子の視線に(マルとチョコちゃんの陰に隠れて)耐えていると、昼休みに先輩が教室にやってきた。
「お昼一緒に食べよ?」
またもや教室中の女子が色めき立つ。
く、空気の読めないやつめ……。
「ふふ。松原先輩、浮かれてんねえ」
「彼女できたのがよっぽど嬉しいんじゃない。明らかに周り見えてない……いや、むしろわざと周りに見せつけてるのかしら」
「ふたりともうるさあい……」
なにやら言っているマルとチョコちゃんに見送られながら、お弁当を持って先輩の方へ向かう。
一言悪態でもついてやろうと思ったけど、目を細めてリナを見つめる先輩を前にしたら、胸がきゅんとしてそんな気は失せてしまった。
「ごめん。マルちゃんたちと食べる予定だった?」
「……別に。いーですけど」
「そ? じゃあ移動しよっか」
気恥ずかしくて可愛くない態度しかとれない。先輩は気づいていないのか、気づいてるけど気にしてないのか、ニコニコ顔でリナを見ていた。



