「長谷部くんはねえ、2組で帰宅部で、リナと同じ美化委員でねぇ」

「あ、長谷部くんって言うんだね。彼氏」

「顔は、まあ、普通?で、他にこれといって長所もなさそうなんだけどぉ」

「ひどっ」

「じゃあなんで付き合ったのよ」

「でもそこがいいんだよね〜!超フツーなかんじがさ〜!女の子慣れしてなさそうで、遊んでなさそうで、フツーに優しくて、初々しくてさ〜〜!」


そう、長谷部くんはフツーなのだ。ザ・平凡男子。だがそこがいい。


「え、それがいいの?里菜、リードしてくれる歳上が理想って言ってたじゃん」

「それはそれ。あくまで理想だよぉ。やっぱりそういう人ってリナ以外の女子とも遊んでるし、ていうかそもそも付き合ってくれないし、総合的にクズだし?」

「特定のひとりのことを言ってるようにしか聞こえないわね……」

「チョコちゃん、なんか言った?」

「…………」


チョコちゃんが口を閉じてスマホに目線を戻す。ちょっとよく聞こえなかったなぁ。