「え~、なんでそんなに否定するの? きしもーちゃん、諒のこと好きなんじゃないの? 絶対両想いになれるのに。告白すれば?」

「さ、させてくれないんですよ!」

「え? どゆこと?」


リナが数か月前に告白しようとしたこと、それを遮られたこと。その後もずっと先手を打たれて遠回しに恋心を否定されてきたことを話した。すっかり掃除も終わり、いつのまにかただの恋愛相談会になっている。


箒を置いて中庭のベンチに腰掛けたサオリさんは、リナの話を聞いて何故かニヤニヤ笑っていた。


「え〜。それは面白い話だねえ」

「リナの話ちゃんと聞いてました?」

「たぶんねえ、諒は今まで告白を遮ったりしたことないと思うよ。そんな意地悪なことしない。だって諒だもん」


言われてハッとした。


……それは、そうだ。今ならわかる。

先輩は、気まずくなったら面倒だからって告白を遮るような人じゃない。

たとえリナをあの場でフッて、気まずくなったとしても、きっと先輩は甘んじてその状況を受け入れただろう。リナが怒ったり、泣いたり、ぶん殴っても、先輩はそれを逃げずに受け止めると思う。