先輩は絵画みたいに美しい顔で、ふっと笑った。
「僕は強くてまっすぐな百合が好きだ。だから、彼女を弱くするものを僕が無くしてあげたい。そうやって百合のそばにいられたら、今まで何も興味の持てなかったこの世界も、なんだか楽しく生きられる気がする」
女の子みんなが惚れ惚れする、やさしい笑み。この世界でたったひとり、マルだけがさせられる表情で、先輩は大事そうに愛を語る。
「だから僕は、百合と一緒にいたい。彼女の人生をそばで見つめることを許してほしい。叶うならずっと、僕の近くで笑っていてほしい。……って思うんだけど、やっぱり重いよね」
先輩は自嘲するみたいにふっと笑った。
祈りのような切実な願い。高校生が口にするにはあまりに純粋で、重すぎる言葉だったけれど……リナは、馬鹿になんかできなかった。
“大好きなひとの近くにいさせてほしい”
“それを許してほしい”
「――リナもその気持ち、わかります」
汐見先輩がゆっくりと、リナの方を向いた。



