「……んもーっ!」
思わず地団駄を踏んで憤慨したのち、ハア、とため息をついて教室を出た。
こうなったら、花壇ピカピカにしてやる……。
怒りの方向を花壇にぶつける平和主義の天使リナは、重い足取りで裏庭へ向かった。
*
意気込んで掃除を始めて、30分。
「………さっっむい……」
軍手をした手を擦り合わせ、体操着姿で震えていた。
夏に咲いていた向日葵が枯れてから誰も手入れしていないのか、花壇はそこそこ荒れていた。
周囲の落ち葉を集めて、雑草を引っこ抜いている間に30分が経過した。未だに雑草は鬱陶しいほど生えている。
なんでリナがこんな目に……。
「一年生に押し付けるなんてしんじらんない……死ぬほど寒いし……リナ寒いの嫌いだし……」
雑草を引っこ抜きながらぶちぶち文句を垂れていると、
「……あれ?岸本さん?」
知らない男子の声がした。
振り返ると、ゴミ箱を抱えた体操着姿の男子が心配そうにこっちを見ていた。



