「まままま松原先輩……」

「マルちゃんはなんでそんな怯えてんの? 俺なんかしたっけ?」

「今日汐見先輩はいないんですか?」


使い物にならないマルの代わりにリナが訊くと、「ヒサ? ヒサは今日バイトだから先に帰ったよ」と答えが返ってきて三人で安堵する。


「え? なに? この空気。ヒサがいたらまずい感じ?」

「まあちょっと、事情がありまして……」

「諒―! 何してんの~? 帰らないの~?」


遠くから女子の声が先輩を呼んだ。見ると、女子の数人が先輩を待っているようだった。

先輩はその人たちの方へ走っていくと、何やら話してから戻ってきた。女子たちが自分たちだけで帰っていく。


「え、よかったんですか? あの人たち帰っちゃいますけど」

「うん。今日は約束してたわけじゃないから。それよりこっちのが気になるかなー」


先輩は涙目のマルを見ると、いたずらっぽい顔でニコッと笑いかけた。






松原先輩にも状況を説明して、駅までの道を四人で探して回ったけど見つからなかった。