「なんでそう思うんですか?」
「んー……まあ理由は色々あるけど、いちばんは目かなあ」
「『目』?」
こっちを向いた先輩の目はさっきと同じ、色とりどりの光を反射して輝いていたけど、その奥は光を失ったように見えた。
「俺のことを本気で好きって目。一度も向けられたことない。みんな俺の向こうに、俺じゃない自分の理想の男を見てる」
「…………」
自分の理想の……。
思い当たることはリナにもあった。
長谷部くんがリナを見つめる目。そして、リナが長谷部くんに向けていた目。
お互いを自分の理想の『彼女』『彼氏』の枠にはめて、そのフィルター越しでしか見ることができなかった。
「……じゃあ、なんで先輩は他人に優しくするのやめないんですか?」
「え?」
「どんだけ相手の好きそうなお店を見つけてエスコートして楽しいデートをしても、頭から紅茶被ってるし、さっきだって親の仇みたいに睨まれてたじゃないですか。なんか先輩だけ損してる。やめたらいいのに」
これはリナがずっと思っていたことだ。
先輩は女の子にとって、あまりに『理想の男』になりすぎる。



