「……なんでもないです。マルとチョコちゃんは今頃どーしてるかなって思っただけですよ」
言うと、先輩は一瞬だけきょとんとしたあと、今度は安心したようにアハハと笑った。
……やっぱり、嫌い。
「え~? この状況で考えるの、それなの?」
「この状況ってなんですかー」
「こんなイルミネーションの目の前で、考えるの友達のことなの? 俺の立場は?」
「なに調子乗ってるんですか? リナのいちばんはマルとチョコちゃんですよ」
「いいなあ。俺もそのくらい好きになれる相手がほしい」
さっきまでの空気はどこへやら、クリスマスデート中の男女とは思えない会話になってきた。いや、これでいいんだ。さっきまでがどうかしてた。クリスマスマジック怖い。
「贅沢ですね。別に先輩が好きにならなくても、先輩のことそのくらい愛してくれる人ならいるでしょ?」
「いないよ」
びっくりするほど即答で、簡潔で、冷たい答えが返ってきた。
思わず先輩を見上げると、彼は普段と変わらない表情でイルミネーションを見ていた。



