「なんで……!」
手前の女性はショックを受けた表情で瞳に涙を浮かべると、バッと踵を返してその場を走り去っていった。
「ちょっ、待ってよスズカ!」
残されたもう1人の女性は先輩の方をキッと睨みつけると、去っていった女性を追いかけていった。
「…………」
「…………」
「……一応聞きますけど、追いかけなくていいんですか」
また見たことない人だったな。あの人も先輩をクリスマスに誘って、フラれた一人だろう。
「うん。追いかけても意味無いし、今日は何があっても里菜ちゃんを置いてくつもりないから」
「……そーですか」
「……それよりさっき、何か言いかけてたけど、何だったの?」
訊かれて、さっきまでの高揚した気持ちが自分でも驚くほど沈んでいることに気づいた。
ショックを受けた“スズカ”さんの顔が忘れられない。あの表情を見た瞬間、頭から冷や水をかけられたみたいだった。
自分は何を言おうとしていたんだろう。
口に出したら、終わりなのに。自分の気持ちを自分で認めることになるのに。
そしたらリナもあの女性と同じだ。報われない恋の牢獄行き。



