「マルとチョコちゃんが好きなんです。SFとかアクションとか。それで一緒に見るうちに好きになりました」

「……やっぱり、好きな人が好きなものは、自分も好きになれる?」


先輩がリナの分のチケットを渡してくれる。交換でリナの分のお金を渡してチケットを受け取った。


「そりゃ、どうしても合わないものもありますよ。チョコちゃんは特にホラー映画が好きなんですけど、それはさすがに無理でした。でも、SFだったらマルもチョコちゃんも好きだから、3人で観れたんです。それだけですごく嬉しかった」


最初は映画なんか興味なくて、二人が同じ映画を観に行くっていうから寂しくて一緒についていっただけだった。

でも、映画終わりに二人があーだこーだと感想を交わしているのを見てると、これはそんなに面白いポイントがあったんだ、とか思って、そのあとひとりでこっそりもう一度観に行ったりした。


「二人が好きな映画なんだなあ、って思いながら観てると、不思議とそれだけで興味がわくんですよね。リナも二人に感想を話せるようになりたいと思ったら、気づいたら目の前の映画に夢中になってて。好きになってました」


リナとマルとチョコちゃんは、合う趣味が少ない。それはそれでリナ達の魅力だと思ってるし、無理に合わせる必要もないと思ってる。

でも一緒に楽しめるものがあるなら、せっかくならリナも好きになりたい。

マルとチョコちゃんが見ている世界をリナも見て、何かを感じたい。できることなら共感したい。共感が無理でも、それを通じて二人の考え方に触れられたらいい。