「あ、汐見先輩」
校門を通ったところで、前の方に見慣れた人物の背中が見えてマルが呟いた。
……げ。
汐見先輩と並んで歩いている男の姿に、思わず眉間に皺が寄る。
無愛想だけどそのハイスペックでモテまくってる汐見先輩と、正反対に誰にでもフレンドリーな性格の松原先輩。
本当に不思議だけど2人は中学時代からの友達らしくて、間違いなく2年男子、ううん学校1モテる2人だ。
今も周囲の女子生徒の熱い視線を浴びている。
「私、ちょっと先輩に用あるから行ってくるね。先に教室行ってて!」
「えっ、ちょ、マル……」
マルはそんな中でも臆することなく汐見先輩の方へ駆け寄っていく。さすがはメンタル激強女だ。心の底から尊敬する。
でも今はよろしくない。
何故なら、汐見先輩の関心が一気に可愛い彼女へ向いたことで暇になったクズ男が、後ろにいるリナたちに気づいてーーニコッと笑いかけてきたから。
げえっ、こっち来る!
あのひと、リナが『死ね』って言ったことなんて気にも留めてないのか、あれからも態度が全く変わらないんだよね。
きっとリナが怒ったことなんて、毛ほども気にならないんでしょ……。



