今まではいつも乃愛経由だったのに、いったいなんの用事だろう?

 怪訝に思いつつも、電話に出てみた。

「はい」

「……藤城?」

 こちらの様子を窺うような、遠慮がちでいながらも気の強さを隠しきれていない声が聞こえる。

「うん、なに?」

 イスから立ち上がり、ベッドにごろんと横になりながら、端的に聞く。

「ったく、アンタ。驚くほどそっけないよね、乃愛以外の人間には」

「そうかな?普通だろ?」

「まぁ、いいわ。これから会えない?」

 耳元に、とんでもない言葉が飛び込んできた。

「はぁ?」

 こ・れ・か・ら・あ・え・な・い・?

 ……って、どういう意味だ?