「モーニングセットとやらもなかなか美味いの。が、こんな時間から随分お客がいるもんだ」

 団長はキョロキョロと辺りを見回しながら、ソーセージ入りのマフィンを美味しそうに平らげた。

 平日の朝であるからか、サラリーマンらしきスーツの男性が多い。

 そんな中で中年のオヤジと顔立ちの良い青年がジャージ姿で朝食をほおばっているのは、傍目にもなかなかの異色と思われた。

「団長……昨夜は本当に申し訳ありませんでしたっ」

 まだ途中のマフィンを一度トレイに戻し、膝に手を当てて上半身を倒す。

 座ったままではこれが精一杯だったが、いつになく痛々しい言葉と態度は、団長に伝わったように思われた。

「凪徒……顔上げろ」

「はい……」

 そうして戻した沈痛の眼が、目の前の団長のいつもの表情を映し込んだ。

「ふうむ。八十五点!」

「へ?」

 突然つけられた点数に戸惑う凪徒。百点満点だとしたら、なかなかの高得点だが?

「もう反省したんだろ? いい顔しとる。あとの十五点はこれから次第だ。今日の公演二回、しっかりやっとくれ」

「は、はいっ」

 そうして勧める団長の手に気付き、再びマフィンにかぶりついた。