「だってモモは凪徒さんの演舞に憧れて入ってきたんでしょ? 目標がそんな状態じゃ、モモも怒りたくなると思います」

「……」

 秀成の言葉は手厳しかったが、全くその通りだと思えた。

 確かに……そして自分がこんなことで、どうしてモモを取り返せるというのだ。

「あ~あ、興奮して喋ったから目が覚めちゃいましたよーちょっくら侵入試みますんで、キーボードカタカタ言わせてもいいですか? 他の二人には別の車で寝てもらうように頼んでここにはいませんから、凪徒さんも悠々自適に休んじゃってください」

「秀成……」

「はい?」

「ありがと、な──」

「は……はいっ!」

 凪徒は秀成のさりげない優しさに、秀成は凪徒の珍しい感謝の言葉に驚き、嬉しさに心震わせた。

 明日・明後日──計五公演。そして三日後は休演日。

 ──必ずモモを見つけて取り戻す。あいつは俺達の『仲間』なのだから──。



★分不相応の二人とは、空中ブランコのサポート役のことでございます。