モモは広大なダイニングの長~いテーブルの隅に着席し、目の前に並べられた沢山の豪勢な料理を見て、まるで夢のようだと感嘆した。

「さ、どうぞ。召し上がれ」

 テレビドラマなどであれば、席を立たねば見えないような向かい側に高岡が腰を据えるところであるが、さすがにそんな意味のないことはされず、すぐ斜め横の長手の端で今まで通りの笑顔が箸を勧めてくれた。

「は、はいっ、お……お父様、いただきます!」

 そう元気良く声に出して、胸の前で手を合わせる。

 早速一番近いトマトの肉詰めに箸を伸ばした途端、

「うっ、うう……」

 もしや余命半年と宣告された病の発作か!? と咄嗟に顔を向けたが、

「明日葉が「お父様」と呼んでくれた……」

 そこには感動で涙にむせぶ高岡の姿があった。

「え、えーと、あのっ、えっ、どうしよ……あ、ほら、これ美味しそうですよ! お父様も早く召し上がって!!」

 慌ててムニエルらしき切り身の盛り付けられた食器を高岡の前まで寄せたが、「明日葉が料理を勧めてくれた上に、また「お父様」と呼んでくれた~!」と更に泣き出してしまった。