「同じように……明日葉お嬢様も、本当に可愛らしい妹のような愛おしい存在でございました。お嬢様はお身体が悪くても笑顔を絶やすことなく、身分違いであることもわたくし共に感じさせることはなく……とても美しいお心の持ち主でございました。わたくし共のお願いは、何も関わりのないお嬢様にとりましては、戸惑われても仕方がないこととは思います。ですが……」

「だ、大丈夫です!」

「「お嬢様……?」」

 消え入りそうな桔梗の声に、今度は慌ただしくモモが即答した。

「大丈夫です。あたし……上手く説得出来るか分かりませんが、水曜までに高岡さん、あっいえ……えーと、お、お父様、を前向きにしてみせますっ」

「「お嬢様……!」」

 手を取り喜び合う姉妹を前にして、宣言したことを今一度心に誓うモモ。

 と同時に説教する凪徒の恐ろしい形相が思い浮かんだが、こちらは命が関わる問題なのだ。

 帰ったら幾らでも説教は受けて立とう。

 やっぱり、本当に、それはそれは恐怖のお仕置きなのではあるけれど。

「有難うございます! それではお嬢様、わたくし達は夕食の支度に戻ります。ご主人様にはくれぐれも、ご病気であることをお嬢様は知らないことになさってくださいませ。本当に有難うございます!」

 いつになく笑顔の二人を見送り、モモは中央の噴水へ歩みを進めた。