「目撃情報の呟きを見つけたって言ったじゃないですか。気を失った少女らしき身体を抱えた黒ずくめの二人が、車に押し込むところを見たって……でもそこにはそれしかなくて、その呟いた人間にコンタクトを取ってみたんです。色と形、走り去った方角を教えてもらい、国道を南西に向かったことは分かりました。で、僕、上手いこと追跡する技は持っているんですが、ちょっとこのパソコンではしんどくて……凪徒さん、新しいパソコンの資金提供する気はありませんか? モモの未来が掛かってるんですよ?」

「うっ……!」

 痛い所を突いてきたなと思いつつも、凪徒に逆らえる時間はなかった。

 仕方なく秀成を連れて自分達の車へ向かう。

 もちろん財布の中身は空となっても足りず、泣く泣く枕の下のへそくりを秀成に差し出した。

 「見つからなかったら、分かっているな?」とやくざ並みにすごまれた秀成は震える身体と引きつる頬を何とか押さえ、午後の公演までには必ず準備を整えると飛び出していった。



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