「あ、そう言えば、お二人もお花の名前なんですね」

 『かすみ』と『ききょう』──『桃』と同じく花を意味する。

「はい。明日葉お嬢様も植物の名前でございますよ」

「え……?」

 そうして三人の会話を嬉しそうに見守る紳士の細められた瞳を見た。

「明日葉の名前は「明日の葉っぱ」と書くのだが、アシタバという植物と同じでね。知っているかい?」

「あ……前に聞いたことがあったような……」

「摘んでも明日には生えてくる生命力の強い植物だから『明日(アシタ)()』。初めから身体の弱かった娘に、毎日明日が来るようにと付けたのだが、名前負けしてしまったかな……」

 潤んでしまったことを恥じるように遠くを望んだ横顔、モモは胸の詰まる想いで掛ける言葉を探してしまった。