「ああ、ありがとう、()(すみ)くん。さ、どうぞ。この紅茶はとびきり美味しいよ」

 団長との繋がりで驚き固まったモモの目の前に、湯気の立ち上る愛らしいティーカップが差し出された。

 ふとその腕の先を見上げると、先程のメイド女性が微笑んでいた。

「あ……どうも、着替えの際には失礼しました」

 モモは朝方の騒ぎを謝罪したが、花純と呼ばれた女性は笑顔のまま首を(かし)げるばかり。

 同じくモモも首を横にして、何故何も答えないのだろうと疑問に思ったが、

「部屋で会ったのは桔梗(ききょう)くんだよ。彼女達は双子の姉妹なんだ」

「えっ?」

 そうして花純の背後から、全く同じ顔をした桔梗が焼き立てのクッキーを供した。

「そ……そっくり!」

「「双子ですから」」

 一秒の狂いもなく返される二人の言葉。

 双子なのだから外見も声も息もピッタリなのは当たり前のことかもしれないが、ここには何の血の繋がりがなくとも自分と同じ顔をした少女が暮らしていたのだと、モモは改めて感慨深く顧みた。