「『あれ』もタカちゃん──高岡氏のことだが──彼同様、知り合いからの依頼での……モモを是非にと言われたが、そちらはもちろん断った。が、なかなかしつこくてのぉ~だったら本日十七時までに、姿を見せず、危害も加えず、モモの元へ団員達が辿(たど)り着けないように妨害出来たら、考えてやってもいいと条件を付けてみたんだ。実際遊園地内でもかなりの邪魔をしたみたいだぞ? 凪徒は気付かないほど勢いづいていたらしいがな」

「……団長~……」

 ──この(タヌキ)おやじは一体何者なんだっ!?

 Nシステムへの障害も、道路工事や高岡邸のバリケードも、『組織』がモモを獲得するための攻防だったという訳だ。

 が、そんな大それた機関に知り合いを持つ団長も、それを無意識の内に阻止していた凪徒も、そして非現実的なスパイの候補に選ばれたモモも、暮には計りしれなく思えた。

「十七時ってギリじゃないですか……良くもそんな──」

「が、やれると思っていただろ? あいつなら」

「……そこは否定しませんが……」