「──相棒、にぃっっ!!」

「ひいっ!!」

 凪徒の叫びとモモの悲鳴が重なり、そして目の前に繰り出されていた鋭いパンチは、ギリギリモモの鼻先で止められていた。

 恐る恐る開かれたモモの視界を埋め尽くす凪徒の拳はゆっくりと遠ざかり、息を弾ませた真剣な表情が垣間見え、そして──

「……あ、あくまでも、空中ブランコの『相棒』って意味だ」

「そ、そんな説明しなくても分かってますからぁ……」

 照れ臭そうにプイっと横を向いた凪徒の弁明で、おどおどしながらもモモはぼやいてしまった。

 でも瞬間分かる──先輩、きっと一生懸命探してくれたんだ。『相棒』のあたしを──だってあんなに真剣な表情、ブランコの演舞でしか見たことがない。

「……明日葉」

「あ、大丈夫ですか? お父様!」

 ──アスハ? お父様!?

 落ち着きを取り戻した高岡の呼ぶ声に心配そうな仕草を向けたモモを見て、凪徒はギョッとしてしまった。

 ── 一体全体どうなってるんだ?