それから十数分後。涼しい音を立ててフォークの置かれた大皿は見事に空となっていた。

 これだけ美味しかったからこそ完食出来たが、そうでなければどんなにモモを想っても、途中でギブアップしていたかもしれない。

「ふい~ごちそう様!」

「「お見事でございました、クレ様!」」

 美人双子姉妹に拍手を送られ、まんざらでもない暮。

 が、それと同時に右手からズシンと何かが倒れる音がした。

「どうもあいつら待てなかったみたいだな……」

 暮は呆れたように短い髪を掻きながら立ち上がった。

 邸宅の正門へ向かう暮の背中を花純と桔梗も追いかける。

 やがて見えた要塞の壁のような金属板は、正門の真ん中一枚だけが道路の方へと倒れていて、そのこちら側とあちら側に団員達の立ち尽くす姿が見受けられた。

「あら……まぁ」

 花純の驚きを含んだ苦笑いの声。

「お陰でわたくし達も自由になれましたが、こちらを一枚でも退()かしていただけましたら本当の本当にヒントを差し上げるつもりでしたので、もう撤去されてしまいましたとは……困りましたわねぇ」

 ──自由にって……この壁、高岡氏の仕業じゃないんだ!? それにしてもまだ答えを出し渋るつもりだったのかよ?

 暮もまた花純を見つめ、苦々しく口角を広げた。