凪徒は緩い傾斜の土手に船を着けてもらい、お礼を言って老人を見送った。
川の向こうから注ぎ込まれる眩しい朝の霞んだ光が、あたかもヴェネチアのゴンドラとゴンドリエーレ(船頭)かと思わせるように、船と老人をセピア色のシルエットに変える。
イタリアのお洒落な光景を楽しんで一つふうと息を吐き、草を踏みながら坂を登る。
凪徒はようやくバリケードの見当たらない通りのまばらな車道に出た。
「どっちだ?」
仕方なく携帯の地図機能を表示し検索する。
秀成に教えてもらった高岡邸はここから道のりで六キロほど。
手前一キロの所に会社も在るので、おそらくこの時間では無人と思われるが、覗いていこうと心に決めて走り出した。
☆ ☆ ☆
川の向こうから注ぎ込まれる眩しい朝の霞んだ光が、あたかもヴェネチアのゴンドラとゴンドリエーレ(船頭)かと思わせるように、船と老人をセピア色のシルエットに変える。
イタリアのお洒落な光景を楽しんで一つふうと息を吐き、草を踏みながら坂を登る。
凪徒はようやくバリケードの見当たらない通りのまばらな車道に出た。
「どっちだ?」
仕方なく携帯の地図機能を表示し検索する。
秀成に教えてもらった高岡邸はここから道のりで六キロほど。
手前一キロの所に会社も在るので、おそらくこの時間では無人と思われるが、覗いていこうと心に決めて走り出した。
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