翌日は風も止まり、作業をこなすには最高の日和だった。

 お陰で順調に全てを終えたメンバーが打合せに集まれたのも、まだ陽の(かげ)らない明るい時間。

 そのためみっちり狭いプレハブに押し込まれもせず、節電のために照明を消された暗いステージでもなく、気持ちの良い屋外での話し合いが悠々とされた。

「──という具合だ。まぁいつも通りやってくれ。……ここから話すこと以外はの」

 ずんぐり小太りで立派な口髭を生やした珠園団長のまとめの言葉に、全員が頷こうと首を振りかけたが、最後の余計な一言が、縦に振る筈の首を横へ(かし)げさせた。

 団長のつぶらな瞳が、斜め左先のモモへと焦点を合わせる。

 それは右隣の凪徒を経由し、数人先の鈴原夫人に向けられた。

「夫人……悪いが、明日はモモの代わりにブランコに乗ってくれるかい?」

 ──えっ!?

「団長、一体っ!」

 言葉すら発せられなかったモモに代わって、凪徒が声を荒げた。