「おそらく……お出掛けになられましたら、ここにお戻りになることはないと思います。ですから、あの……この四日間、桔梗はとても楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました! どうかお元気でいらしてくださいませ……」

「えっ! あ、桔梗さん、遊園地に一緒に行かないんですか?」

 涙混じりの別れの言葉に焦ったモモは、思わず桔梗の腕を握り締めた。

 そして彼女が『明日葉』と呼んだこと、本当に明日葉と共に過ごせたと、感じられたからこその言葉だったのだとモモは気付いた。

「はい。わたくし共は『お客様』をお迎えしなければなりません」

「お……客様?」

 桔梗はただ頷いて、哀しみを隠した微笑みを湛えながら戻っていってしまった。

 今日という一日がどう過ぎてゆくのか、モモは微かに胸騒ぎを感じずにはいられなかった。



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