「凪徒さん? 僕です。すみません、遅くなっちゃって……ついに分かりました! 隣の由倉市、(ゆい)(がみ)町の高岡プランニングです!! 高岡社長が関与しているとすれば、時間も時間ですし、会社から五キロほど先の社長宅へ向かった方がいいと思います」

「由倉市、高岡……秀成、ビンゴだっ! 良くやった!!」

「え……? あれ、もしかして先に辿り着いちゃってました?」

「半分ほどな、でもこれで確証を得たんだ。お前の手柄だよ! 悪いが片瀬駅からの最短ルートを割り出して送ってくれ」

 残念ながら凪徒の借りた営業車にはナビがない。

 秀成は嬉しそうに「了解しました」と電話を切り、暮はグループ毎に連絡をして、全員に由倉市へ向かうよう伝えた。

「さて……これからだ、凪徒。高岡社長からモモの居所を聞き出せるのか否か……」

「吐ける物は全部吐かせてやるよ……」



 ──怖っ!!

 久し振りに見せる死神のような吊り目に(おのの)く。

 駆け出す凪徒を慌てて追いかけた暮は、それでも半分喜んでいた。

 団員全員が本気(、、)でモモを心配していること。

 きっとこれが団長の真の狙いだ。

 そしてそれがモモに伝わりさえすれば──。

 サーカスはやっと一つにまとまるのかもしれない。

 モモにとっても居心地の良い、気兼ねなど()らない温かな『我が家』へと!



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