「お父様のお買い物ですか? それともお二人の? あたし、余り洋服に詳しくなくて……コ、コーディネートとか無理ですよっ」

「いえ、お嬢様のお洋服でございます」

「えっ!」

 モモは危うく紅茶を噴きそうになった。

 自分の洋服──いつも着たきりスズメのジャージとパーカー人間に、どうして洋服が必要なのか?

「まあまあ、お嬢様。ご主人様にお付き合い差し上げてくださいませ。わたくし達もお供致しますので」

「え……あ、てっきりお二人今日はお仕事がお休みなのかと思いました。……って、いえ、そんな! あたしの洋服に三人でって……そんな大げさなっ」

「ご主人様は運転手兼ボディガードだそうです。コーディネートは花純と桔梗が尽力致しますので……どうぞお任せくださいませ」

 ──それって、まさか初日のドレスみたいなのでは……?

 いやに気合の入った雰囲気の二人に思わずのけぞってしまう。

 それでも意外に常識的な装いの姿に少し安堵する自分も存在したが──。