「これでもあたし、未成年ですよ?」

「『これ』じゃなくても、十分未成年って分かる」

 更に重ねられた皮肉に、さすがにモモも頬を膨らませた。

「……お前、幾つになった?」

 言葉には出さないものの抗議の姿勢は感じ取れる。

 凪徒はそれを視界の端に入れて、尚も気遣いのない質問を投げた。

「先月みんなにお祝いしてもらったばかりじゃないですか。先輩の六つ下なんですから、『これ』でも十七ですよ」

「ふうん」

「ふうんって」

 モモは少しだけ拗ねた表情をして、闇色の景色を灯す桜の淡い白さに目を向けた。

 遠くを望めば等間隔に並べられた街灯に沿って、丸く切り取られたようなぼやけた光はまるで蛍のようだ。

 一年前も、そのまた一年前も、同じように見た風景。

 それでも今年は隣に凪徒がいると思ったら、自然と口角も上がってしまう。──が、

「お前さ……も少し自然体でいろよ」

「えっ?」

 唐突な凪徒の言葉に、モモは理解も出来ぬままそちらを振り向いた。