たぶん、きっと、そうカモメ

その後、しばらく彼女の学校へ行くことはなかった。

一年ほどしてOA機器のメンテナンスの依頼があったので学校へ行った。

彼女は半年前に別の学校へ転勤したとのことだった。

きっと彼女と会うことはもうないだろう。

時が経ちいろいろな物事が変わっていくように僕も未知なる未来へ流されているのだ。


ある日の仕事帰り、家の前で葉月の母親と会った。

どうやら葉月の部屋は空き部屋になっているようだ。

彼女は葉月の子供の写真を何枚か見せてくれた。

初孫がよっぽど嬉しかったのだろう。

話も終盤を迎えた頃、彼女は僕に紹介したい人がいると言った。

僕は適当に理由をつけて断った。


数日後、僕は休みで家にいるとインターフォンが鳴った。

葉月の母親だった。

サツマイモをたくさんもらったからお裾分けにとのことで持ってきてくれた。

玄関のドアを開けると後ろに一人の女性がいた。

初恋の彼女だった。

忘れかけていた頃にやってくるとは、まさにこのことを言うのだろう。

あえて僕は知らないふりをした。

彼女はあたかも僕と会うのが初めてかのようなふるまいだった。

しかし葉月の母親はそうもいかなかった。

彼女の紹介を始めだした。

僕は会社の人と電話をしていた最中だと言い、その場を逃れた。

葉月の母親は花道と茶道の先生をしていた。

きっと非常勤として呼ばれた学校で彼女と出会ったのだろう。

しばらく僕は一年前のあの日のことを思い出していた。

あの時は食事に誘うべきではなかったかもしれないけど、過去はどうしようもない。

頭をすっきりさせたかったのでシャワーを浴び冷蔵庫からビールを取り出した。

その後、公園へと散歩に行った。

女子中学生がソフトボールの練習をしていた。

きっとあの子達も誰かを好きなり、また誰かから恋を抱かれているのだろう。