たぶん、きっと、そうカモメ

二人は家を建ててまもなく第一子が産まれた。

その頃、僕にも出会いがあった。

出会いと言っても同じ大学に通っていた知り合いだ。

僕が行った営業先にたまたま彼女がいたのだ。

彼女は私立中学校の教師をしていた。

僕に気づくと声をかけた。

初めは彼女に気づかなかった。

僕と彼女の接点は大学四年間の中で講義が一つだけ同じだったこと。

隣同士に座って一緒にグループを組んだこと。

ましてや大学を卒業して三年が経っていた。

同じ教育学部でも彼女のように教師になる人もいれば僕のように営業職になる人もいるのだ。


後から知った話だが、実は僕と彼女はもっと前から知り合っていたのだ。

中学生の頃に通っていた学習塾が同じだったのだ。

彼女の出身中学校を聞いた時、僕は思い出したのだ。

僕が通っていた学習塾は定期的に行われるテストがあると順位が張り出される。

そこには名前と学校名が載るのだ。

僕は彼女の名前と中学校名を思い出した。

彼女は常に学年で三位以内にいた。

もちろん彼女は僕のことを知るよしもなかった。

なぜならば上位十名しか載らないからだ。

その後も何度か彼女の勤める学校へ行った。

彼女は決して華やかなタイプではなかったが会えば会うほど魅力に気付かされるタイプだった。

そして僕は彼女に惹かれていった。


ある日、たまたま廊下で出会った。

適当な理由をつけて食事に誘うと今晩はどうかとのことだった。

お互いに翌日は休みだったのでその日に食事をすることになった。

僕は個室のある居酒屋を予約した。


待ち合わせ場所に着くと数分後に彼女がやって来た。

大学生の時に見たカジュアルなイメージとは違い、清潔感のある服装をしていた。

おそらく生徒や家族の目を気にしていることもあるのだろう。

お待たせ。

彼女はそう言うと後ろで結んでいた髪をほどき、髪を左右に流した。