夢を叶えた日、一番にきみを想う

「お前の担当は古田だってば」
「だから、別に希望して古田になったわけじゃないってば」
「こら、古田”先生”でしょ」

言い合いをする俺たちに、母さんが嗜める。
沙帆ちゃんはクスリとする。

「先生、もしよければ、祐樹も見てください」
「でも私より古田先生の方がずっと素晴らしい先生ですよ」
「えー、どうかなあ」

沙帆ちゃんの言葉に、祐樹が異論を唱える。
母さんは祐樹に向かって、もう一度「こら」と叱る。
「だって」という祐樹を見て、沙帆ちゃんは次は声をあげて笑った。

「機会があれば担当させてください。古田先生がお休みの日とか」
「古田、休まないかなあ……」
「もう、祐樹。いい加減にしなさい」

目の前で繰り広げられる祐樹と母さんの軽快なやりとりに沙帆ちゃんが笑う。
なんとなくその光景がつまらない。
ああ、早く終わらないかな。
しばらくただただ突っ立っていると、やっと母さんが「寒い中呼び止めてしまってごめんなさい」と言い、会話の終わりが見えてくる。

「先生、お家はここから近くなんですか?」
「いえ、ここから2つ隣の駅です」
「あら、遠いのに長話してしまって本当にごめんなさい」

母さんはクルッと振り返ると、

「尚樹」

俺に呼びかけてきた。

「先生のこと、送っていきなさい」

「は!?」「え!?」

母さんの提案に、俺と沙帆ちゃんは同時に声をあげた。