夢を叶えた日、一番にきみを想う

「何?」
「“サホちゃん!?”」

翔の大声を無視して「えっと、」と続けると、後ろから翔が割り込んできた。

「もしかして、あなたが“サホちゃん”ですか!?」
「え? 私? 私、沙帆ですけど」
「尚樹の先生の!?」
「もうお前いいって、うるさいって」

ペシッと翔の頭を叩くと、翔は大袈裟に「いてーよ」とうずくまる。

「あのさ、今日何時までいんの?」
「ここに? うーん、もう1校まわるから、1時間ぐらいかな? 他の生徒のクラスの出し物も見たら帰るよ」
「マジか」

他の生徒のクラスの出し物って言っても、そんなにないじゃん。3つ、4つぐらいじゃん。

「ごめん、ちょっと待ってて」

奥に行って、全体を仕切っている女子に「ちょっと抜けたいんだけど」と伝える。

「抜けたいって? どれぐらい?」
「1時間ぐらい?」
「1時間も? 休憩時間、まだ先なんだけど」
「その休憩時間、今とらせてくれない? 帰ってきたら全力で働くから」
「えー、そうはいっても……」

ぶつぶつ言う女子に、「じゃあ、頼むわ!」と言い残し、そそくさとテントを出る。
この言い方だと、きっと何度お願いしても渋られるだけだろうから。
名前を呼ばれたのも、「困るよ」と言われたのも聞こえたし、わがままだとか自分勝手だとかいうこともわかっていたけれど、これだけは譲れなかった。