夢を叶えた日、一番にきみを想う

沙帆ちゃんたちが祐樹に連れられてお店にやってきたのは12時過ぎで、予想以上にお客さんが来てくれて「もう集客はいいからレジを手伝って!」というクラスの女子の指示に素直に従っている時だった。

「すみませ~ん、肉巻きおにぎり、6個で」
「お前、6個もー…」

声だけで祐樹だと分かり、呆れながら顔をあげると、

「あっ」

そこには、塾長や小竹と一緒に、沙帆ちゃんがいた。

「途中で会ったから連れてきちゃいました」

ニヤニヤ笑う祐樹を軽く睨んでから沙帆ちゃんを見ると、「来ちゃった」と彼女はふわりと微笑んだ。

「お疲れ様、大人気だね」
「おう」

来ることはわかっていたのに、急に現れた彼女に動揺してしまい、素っ気なく返事をしてしまう。

「はい、尚樹、これ」

翔が後ろから、透明のタッパーに入れた肉巻きおにぎりを渡してくれる。
そのまま流すように先頭にいる祐樹に渡すと、沙帆ちゃんたちは「ありがとう」と言ってから、あっさりと俺に背中を向けた。
――“あっさりと”って、まあ、商品を受け取ったから当たり前なんだけど。

「あ、沙帆ちゃん」

このままじゃ彼女が行ってしまう。
その考えが頭によぎり、急いで呼び止める。何を話そうかもきちんと決めずに。