夢を叶えた日、一番にきみを想う

「あー、文化祭か。可愛い女の子来るかな」

出店場所として割り当てられたテントの中で最後の下ごしらえをしている翔が期待に満ちた眼差しでグラウンドを見つめる。

「……今の発言、茉奈にチクるぞ」
「うわ、それだけは勘弁。でもたまにはいいだろ、いつもむさくるしい男子ばっかりに囲まれているんだから」

翔の正直な発言に思わず笑ってしまった。

「でも、ほら、尚樹だってソワソワしてるじゃん」
「してないって」
「あれだろ、サホちゃんが来るからだろ」
「……なあ、今日の俺、そんなにも変?」

母さんといい、祐樹といい、翔といい。
確かにいつもより身だしなみはきちんとしているけど。

「まあ……そうだな。なんか、気合入っていることはわかる。キリッとしているし」
「なんだそれ」
「でもまあ、俺も楽しみだな。初めて会えるから、サホちゃんに」

ニヤッとする翔に、「変なこと言うなよ」と念を押す。

「冗談でも、俺が好きなこととか言うなよ」
「わかってるって、多分」
「多分ってなんだよ……」

まあ、でも知っている。こう見えて、翔はどんなに些細なことでも、人の嫌なことはしないっていうことは。