「どうしたの、今日」
文化祭当日、いつもより早起きをして髪の毛をワックスを使ってセットしていると、母さんが不思議そうに鏡越しに俺を見た。
「『どうしたの』って、何が?」
「色々と。今日学校でしょ? いつもギリギリまで寝ていて、髪形なんて気にしていないじゃない」
「特に意味はないけど。早くに目が覚めたから、セットしているだけ」
「ふうん」
たった3文字で“いかにも信用していません”ということが伝わってきたけれど、それ以上母さんは何も言わなかった。
「え、尚樹、どうしたの、その頭」
俺が朝ごはんを食べ終わるころにやっと部屋から降りてきた祐樹は、挨拶もせずに怪訝そうな顔で俺を見る。
「『どうしたの』って、何が?」
「いや、髪の毛。気合入ってるじゃん」
「時間があったからセットしただけ」
さっきも母さんと同じような会話をしたな、と思いながら、牛乳を一気に飲み干す。
「たかが学校へ行くだけなのに髪の毛をセットするなんて珍しいわよね?」
「珍しいどころか、今まで無かったんじゃない……?」
2人の会話を無視していると、急に祐樹が「ああ、そういうことか」と俺を見る。
「お前、今日、沙帆ちゃん来るからだろ」
突如出された名前に、思わずむせる。
「やっぱり。アタリか~」
「ちげーよ。っていうか、黙れ」
親の前で恋愛話なんてするなよ、抗議の意味を込めて睨みつけたのに、祐樹は「わかりやすいなあ」とケラケラ笑った。
「でもさ、今日だけセットしても意味ないんじゃないの? いつも、ボサボサな姿見られてんじゃん」
「だからちげーよ」
さっさと食べないと置いていくぞ、と一言残し、席を立つ。
「うわ、ひどい」
慌てた祐樹の声を背後で聞きながら、いつもは適当にしているネクタイを、今日は丁寧に結んだ。
文化祭当日、いつもより早起きをして髪の毛をワックスを使ってセットしていると、母さんが不思議そうに鏡越しに俺を見た。
「『どうしたの』って、何が?」
「色々と。今日学校でしょ? いつもギリギリまで寝ていて、髪形なんて気にしていないじゃない」
「特に意味はないけど。早くに目が覚めたから、セットしているだけ」
「ふうん」
たった3文字で“いかにも信用していません”ということが伝わってきたけれど、それ以上母さんは何も言わなかった。
「え、尚樹、どうしたの、その頭」
俺が朝ごはんを食べ終わるころにやっと部屋から降りてきた祐樹は、挨拶もせずに怪訝そうな顔で俺を見る。
「『どうしたの』って、何が?」
「いや、髪の毛。気合入ってるじゃん」
「時間があったからセットしただけ」
さっきも母さんと同じような会話をしたな、と思いながら、牛乳を一気に飲み干す。
「たかが学校へ行くだけなのに髪の毛をセットするなんて珍しいわよね?」
「珍しいどころか、今まで無かったんじゃない……?」
2人の会話を無視していると、急に祐樹が「ああ、そういうことか」と俺を見る。
「お前、今日、沙帆ちゃん来るからだろ」
突如出された名前に、思わずむせる。
「やっぱり。アタリか~」
「ちげーよ。っていうか、黙れ」
親の前で恋愛話なんてするなよ、抗議の意味を込めて睨みつけたのに、祐樹は「わかりやすいなあ」とケラケラ笑った。
「でもさ、今日だけセットしても意味ないんじゃないの? いつも、ボサボサな姿見られてんじゃん」
「だからちげーよ」
さっさと食べないと置いていくぞ、と一言残し、席を立つ。
「うわ、ひどい」
慌てた祐樹の声を背後で聞きながら、いつもは適当にしているネクタイを、今日は丁寧に結んだ。



