夢を叶えた日、一番にきみを想う

「ちょうどいいところに来た」

靴箱でスリッパに履き替えていると、塾長が一枚の紙をひらひらさせながら近づいてきた。

「はい、これ。夏休みに入ってすぐに受けた模試の結果」
「ああ……ありがと」

あの模試の結果か。あんまり手応え無いな。
何となく見たくない。
その気持ちが滲み出て微妙な顔をしてしまっていたのか、塾長は俺を見てハハッと笑った。

「まあまあ、見てみなよ。思いの外良い結果かもよ?」
「えー…」

そんなことあるかよ、と思いながら折りたたまれた紙を開く。

「うそ……」
「ね? 言ったでしょ?」

そこには、見たことも無い良い結果が記載されている。
もちろん、志望校合格判定の欄には、一番可能性が低い“E”という文字ばかりが並んでいるけれど、それでも総合での順位と偏差値は、自分の結果か疑いたくなるぐらい良いものだった。

「これ、俺の結果?」
「そうだと思うよ。同じ塾には同姓同名いないから」
「マジか……」

びっくりしていると、「頑張ったじゃん」と塾長は褒めてくれた。

「沙帆ちゃんにも報告しないと」
「あ、そうそう、その吉川先生なんだけど、ちょっと用事があって、今週の授業は急遽お休みになったんだ」
「え、休み?」
「うん。今日と明後日の授業は別の先生に入ってもらうことになるけど、ごめんね?」

あーあ、休みか。せっかく良い結果見せられると思ったのに。来週までお預けか。
普段、ほとんど休んだりしないのに。なんだかタイミング悪いな。

心の中で大きくため息をついてから、授業が行われる教室へ向かった。