夢を叶えた日、一番にきみを想う

翌日、祐樹の言葉が1日中頭から離れなかった俺は、いてもたってもいられず隣の駅を訪れた。
今日は、沙帆ちゃんの別の校舎での出勤日。初めて授業をしてもらった日に教えてもらった勤務時間だと、確か今から40分後の授業から勤務を開始するはずだ。
いつも俺の授業の時は30分ぐらい前から教室にいるから、きっと―もし担当している授業が変わったりせずに勤務時間が変更していなければ―後10分ぐらいここで待っていれば会えるだろう。

謝りたかった。一言、謝りたかった。それだけだったけれど。

「よく考えればストーカーみたいだよな……」

というか、立派なストーカー行為に当たるのだろうか?
謝って許してもらうどころか、もしかしてひかれてしまいそうな気もする……。

どうしよう。やっぱり待ち伏せはヤバいかな。帰ろうかな。
どうしようか、と考え続けていると、急に目の前に待っていた人の顔が現れた。

「やっぱり尚樹だ」

沙帆ちゃんは俺の悶々とした悩みを吹き飛ばすかのように、いつも通りふわりと笑った。

「まさかこの駅で尚樹と会うとは思わなかった。どうしたの? 誰かと待ち合わせ?」
「えっと」

あなたを待っていた。
それに嘘はないし、それがすべてだけど、本人を目の前に「あなたを待っていました」とは言いにくい。
でも、今を逃すと、余計に言えない気がして、俺は思い切って吐き出した。

「……そう。沙帆ちゃん待ってた」

沙帆ちゃんは予想外だったのか、俺の言葉に大きく目を見開く。

「あのさ……この前、ごめん」
「……何のこと?」

少しの沈黙の後、沙帆ちゃんはポカンとした表情で俺に問いかけた。

「この前……授業終わり、俺、嫌な態度とったかなって」
「……嫌な態度?」

沙帆ちゃんは本当にわかっていないようで、首を傾げた。

「うん、ほら、授業終わりに夏期講習の書類渡しに来てくれた時。沙帆ちゃんが話しかけてくれたのに、俺、『帰る』って無視したじゃん」
「ああ、あの時」

沙帆ちゃんはやっとわかったようで、「思い出した!」と頷く。