夢を叶えた日、一番にきみを想う

「あ、尚樹!!」

小竹を睨みつけていると、沙帆ちゃんが校舎の中から慌てた様子で出てきた。

「はい、これ、塾長から。夏期講習の日程と勉強計画表。今日お家に帰ったら親に渡してね?」

間に合ってよかったー、と無邪気に笑う。

「ありがと」
「あ」

俺の後ろに立っている実優に気づくと、沙帆ちゃんは柔らかに微笑んだ。

「よかったね、仲直り出来たんだ」
「だから違うって」

思わず眉間にしわを寄せる。

「そっかそっか」

俺の言葉を信じていないようで、沙帆ちゃんは「仲良くね」と付け加える。

「何? 2人ケンカしてたの?」

小竹は「塾終わりに会いに来てくれるような可愛い彼女、泣かせたらダメだぞ?」と俺に言う。
本当の俺の気持ちをわかっているはずなのに、わざわざ諭すように言った小竹に、心底腹が立つ。

「ほんとだよ、大切にしてあげなよ? 尚樹」

小竹の言葉に「そうだよねー」と同意して笑い合う2人の様子に、気づけば「違うって言ってんだろ!」と声を荒げていた。

「……尚樹?」
「もういい、帰る」

沙帆ちゃんからの呼びかけを無視したのは、初めてだった。