お風呂上り、部屋に戻り、今日出た宿題に早速取り組んでいると、「荒れているなあ」と祐樹がのんびりとした口調で言った。
「何か言った?」
「いやあ、今日の尚樹、荒れているなあと思って」
祐樹は「今日の舌打ちの回数、半端ないけど」と付け加えた。
「……そうか?」
完全に無意識だった。
「おう、後、全身からイライラしていることが伝わってくる。双子だからか?」
「知らねーよ」
「けど、イライラはしているだろ」
「さあな」
祐樹を一瞥した後、視線を手元に戻す。
シャーペンの芯が折れると同時に、祐樹は「ほら」と言う。
「また今舌打ちした」
「文句あるなら自分の部屋に戻れよ」
「別に文句はないけど? 珍しいなあと思っただけ」
それで終わるかと思ったのに、祐樹は「沙帆ちゃんと何かあったか?」と続けてくる。
「……別に」
「そっか」
「……沙帆ちゃんと小竹のことか?」
少しの沈黙の後、祐樹はさっきと同じのんびりとした口調で続けた。
あまりにも的確な指摘に、思わず俺は顔をあげた。
「やっぱり?」
「……どうして?」
「いやあ、終業式の前の日だったっけ? 駅で沙帆ちゃんと小竹が一緒にいるところ見たじゃん。その時から何となく様子変だから。あと、今日、小竹のことすごい目で睨んでたから」
さっきの祐樹の言葉じゃないけれど、さすが双子だな、と思ってしまった。
「嫌なのはわかるけど、仕方がないんじゃない? 今は生徒と先生である以上、例え両想いでも付き合えないじゃん。それに、まだ実優と別れてないだろ? 今日実優から連絡来たぞ」
「……なんて? なにか言ってた?」
「いや、まあ、『尚樹ってあの先生のこと好きなの?』って聞かれた」
「マジか」
まあ、気づくよな。この前聞かれたときも、ほぼ肯定するような返事をしたし。
「俺は尚樹のこと応援したいけど、まずは実優と話し合って蹴りをつけろよ。さすがに今の状態は実優が気の毒過ぎる。断じて実優のことが恋愛的な意味で“好き”とかではないけれど、俺にとっては実優だって中学の頃からの仲の良い友達なんだから」
「……わかってるっつーの」
「わかっているならいいけど」
「失礼しました」とおどけて言う祐樹に一瞬イラッとしつつ、スマホを開く。
【話がある。会おう。】
送ったメッセージにはすぐ読んだことを知らせるマークがついたのに、その日は実優から返事が来なかった。
「何か言った?」
「いやあ、今日の尚樹、荒れているなあと思って」
祐樹は「今日の舌打ちの回数、半端ないけど」と付け加えた。
「……そうか?」
完全に無意識だった。
「おう、後、全身からイライラしていることが伝わってくる。双子だからか?」
「知らねーよ」
「けど、イライラはしているだろ」
「さあな」
祐樹を一瞥した後、視線を手元に戻す。
シャーペンの芯が折れると同時に、祐樹は「ほら」と言う。
「また今舌打ちした」
「文句あるなら自分の部屋に戻れよ」
「別に文句はないけど? 珍しいなあと思っただけ」
それで終わるかと思ったのに、祐樹は「沙帆ちゃんと何かあったか?」と続けてくる。
「……別に」
「そっか」
「……沙帆ちゃんと小竹のことか?」
少しの沈黙の後、祐樹はさっきと同じのんびりとした口調で続けた。
あまりにも的確な指摘に、思わず俺は顔をあげた。
「やっぱり?」
「……どうして?」
「いやあ、終業式の前の日だったっけ? 駅で沙帆ちゃんと小竹が一緒にいるところ見たじゃん。その時から何となく様子変だから。あと、今日、小竹のことすごい目で睨んでたから」
さっきの祐樹の言葉じゃないけれど、さすが双子だな、と思ってしまった。
「嫌なのはわかるけど、仕方がないんじゃない? 今は生徒と先生である以上、例え両想いでも付き合えないじゃん。それに、まだ実優と別れてないだろ? 今日実優から連絡来たぞ」
「……なんて? なにか言ってた?」
「いや、まあ、『尚樹ってあの先生のこと好きなの?』って聞かれた」
「マジか」
まあ、気づくよな。この前聞かれたときも、ほぼ肯定するような返事をしたし。
「俺は尚樹のこと応援したいけど、まずは実優と話し合って蹴りをつけろよ。さすがに今の状態は実優が気の毒過ぎる。断じて実優のことが恋愛的な意味で“好き”とかではないけれど、俺にとっては実優だって中学の頃からの仲の良い友達なんだから」
「……わかってるっつーの」
「わかっているならいいけど」
「失礼しました」とおどけて言う祐樹に一瞬イラッとしつつ、スマホを開く。
【話がある。会おう。】
送ったメッセージにはすぐ読んだことを知らせるマークがついたのに、その日は実優から返事が来なかった。



