夢を叶えた日、一番にきみを想う

勉強の進捗や新しい先生のこと、沙帆ちゃんの住む国について話をしていると、あっという間に沙帆ちゃんが搭乗する時間が迫ってきた。

「じゃあ、今日は来てくれてありがとう」

そろそろ行くね?と、彼女は保安検査場を指差す。

「……うん」

彼女が本当にいなくなってしまう。
行くな、と言いたい。そばにいたい、と言いたい。そばにいてほしい、と言いたい。

そもそも、想いすら伝えられていない。
想いを伝えるためにここへ来たのに、今口をひらくと、声が震えそうだった。

「尚樹、勉強頑張ってね?」

黙りこくった俺の顔をのぞきこむと、沙帆ちゃんは少し困ったような、穏やかな笑顔をみせてくれた。
沙帆ちゃんにはお見通しなのか、小さい子どもをあやすように俺の背中をさすってから「じゃあ、行くね?」と、背中を向けた。