家に帰ると、母さんと父さんがリビングでテレビをみていた。
「おかえり」
カバンを置こうと自室へ向かおうとした時、母さんに背後から声をかけられる。
「ご飯、食べるでしょう?」
「あー、うん」
沙帆ちゃんを待っている間、コンビニでおにぎりを食べただけで、今更ながらとてもお腹が空いていたことに気が付く。
緊張、してたのかな。
していたよな。今日で会えるのは最後だと思っていたし、本来であれば告白するつもりだったし。
ーーそれでも、ネックレスを受け取ってもらえただけで合格だよな。
よく頑張った、と自分で自分を認めると、安堵からか身体から余計に力が抜けて、自分の部屋で着替えだけ済ませると、さっさと一階へ降りた。
リビングへ行くと、テレビは消えていて、父さんもいなくなっていた。
「はい、ご飯」
母さんはお盆ごと俺の席におくと、目の前に座った。
「この時間に帰ってきたということは、無事、送ってあげたのね?」
「うん」
味噌汁を流し込むと、あまりにも胃が空っぽだったからか、ギュルルル、と変な音がなった。
「……ちゃんとお別れ出来た?」
母さんの目には心配の色が映っている。
あまりの空腹で頭がきちんと働かない中、こんな風に母さんに見つめられたのは初めてかもしれない、とぼんやりと思った。
「日本を離れる日、見送りに行かせてもらえることになった」
バレンタインの日、沙帆ちゃんへの想いを認めたことを気に、母さんとは少しずつ沙帆ちゃんの話をするようになった。
高校生にもなって、しかも女でもないのに、母さんに恋バナをする日がくるとは思いもよらなかった。それでもあまりにも真剣に、茶化すことなく応援してくれるものだから、どんどん大きくなる彼女への想いを誰かに共感してほしくて、何か聞かれれば答えるようになってしまった。
だから母さんは、今日で会うのが最後だったはずということも、彼女は卒業したら外国で働くということも、そして今までどれだけ彼女が俺と真っ直ぐ向かい合ってくれたかも、知っている。
「そうなの? よかったね」
「うん」
「それで、今日、伝えたの? 尚樹の気持ち」
「いや、今日は伝えなかった。もし伝えて、見送り行くの断られると嫌だから」
「そっか。じゃあ、二週間後が決戦の日ね」
「決戦、って。そんな大袈裟だろ」
ーー結果は、する前からわかっているんだから、という言葉は飲み込んだ。
「まあ、後悔しないように頑張りなさいね」
「うん」
母さん特有の淡い優しい味付けのハンバーグを口に入れると、なぜか彼女の笑顔が思い出された。
「おかえり」
カバンを置こうと自室へ向かおうとした時、母さんに背後から声をかけられる。
「ご飯、食べるでしょう?」
「あー、うん」
沙帆ちゃんを待っている間、コンビニでおにぎりを食べただけで、今更ながらとてもお腹が空いていたことに気が付く。
緊張、してたのかな。
していたよな。今日で会えるのは最後だと思っていたし、本来であれば告白するつもりだったし。
ーーそれでも、ネックレスを受け取ってもらえただけで合格だよな。
よく頑張った、と自分で自分を認めると、安堵からか身体から余計に力が抜けて、自分の部屋で着替えだけ済ませると、さっさと一階へ降りた。
リビングへ行くと、テレビは消えていて、父さんもいなくなっていた。
「はい、ご飯」
母さんはお盆ごと俺の席におくと、目の前に座った。
「この時間に帰ってきたということは、無事、送ってあげたのね?」
「うん」
味噌汁を流し込むと、あまりにも胃が空っぽだったからか、ギュルルル、と変な音がなった。
「……ちゃんとお別れ出来た?」
母さんの目には心配の色が映っている。
あまりの空腹で頭がきちんと働かない中、こんな風に母さんに見つめられたのは初めてかもしれない、とぼんやりと思った。
「日本を離れる日、見送りに行かせてもらえることになった」
バレンタインの日、沙帆ちゃんへの想いを認めたことを気に、母さんとは少しずつ沙帆ちゃんの話をするようになった。
高校生にもなって、しかも女でもないのに、母さんに恋バナをする日がくるとは思いもよらなかった。それでもあまりにも真剣に、茶化すことなく応援してくれるものだから、どんどん大きくなる彼女への想いを誰かに共感してほしくて、何か聞かれれば答えるようになってしまった。
だから母さんは、今日で会うのが最後だったはずということも、彼女は卒業したら外国で働くということも、そして今までどれだけ彼女が俺と真っ直ぐ向かい合ってくれたかも、知っている。
「そうなの? よかったね」
「うん」
「それで、今日、伝えたの? 尚樹の気持ち」
「いや、今日は伝えなかった。もし伝えて、見送り行くの断られると嫌だから」
「そっか。じゃあ、二週間後が決戦の日ね」
「決戦、って。そんな大袈裟だろ」
ーー結果は、する前からわかっているんだから、という言葉は飲み込んだ。
「まあ、後悔しないように頑張りなさいね」
「うん」
母さん特有の淡い優しい味付けのハンバーグを口に入れると、なぜか彼女の笑顔が思い出された。



