「尚樹〜」
沙帆ちゃんは、はあ、とため息をつく。
「これだけは本当にダメ。申し訳ないけど、私のわがまま、聞いてくれないかな?」
「お願いします。行かせてください」
90度頭を下げる。
頭をさげてどうにかなるかはわからなかったけれど、どうしても会いたい。
出来る限り、最後の最後まで、沙帆ちゃんの傍にいたかった。
「……顔、あげてよ」
「じゃあ、行ってもいい?」
「……それはダメ」
頑なに拒否する彼女の姿勢に、少しだけ心が折れそうになる。
ーーでも、俺だって譲れない。どうしても会いたい。会えるチャンスがあるのに、手放すことなんて出来ない。
たった1回。たった1回だけでも会えるのなら、どうしてもその機会を手放したくない。
「ごめんね。友達からの申し出も断っているし……今回は『いいよ』って言ってあげられない」
「お願いします。絶対に笑顔で見送るから」
頭を下げたまま「お願い」と繰り返す。
どれくらいたっただろう。一分ぐらいたっただろうか。
「もう、本当に尚樹っていう子は、」
その声には少しだけ笑いというか呆れというかー…そういうものが含まれていた。
「……わかったよ。その変わり、湿っぽくなるのはダメだからね?」
「本当!?」
「うん、根負けした。こんなに熱心にお願いされたのは初めてだ」
沙帆ちゃんはショルダーバッグからスマートフォンを取り出すと、俺に差し出した。
「当日の待ち合わせ場所と時間、連絡するから、尚樹の電話番号教えてくれる?」
「……うん!」
電話帳を開き、電話番号と名前を打ち込む。SNSの連絡先も入力しようかと思ったが、余計なことはやめておいた。変なことをして「やっぱりきたらダメ」とか言われたら嫌だから。
「ありがとう。当日、空港に着く時間がわかったら連絡するね?」
「あざっす!!」
「あ、ちゃんと事前に、後任の先生に伝えるんだよ。28日は授業をいれないでください、って。もし授業をサボって来たら、追い返すからね?」
「わかってる」
二週間後、もう一度会える。二人きりの時間を過ごすことが出来る。
そしてその日ー…彼女に想いを伝えよう。
沙帆ちゃんは、はあ、とため息をつく。
「これだけは本当にダメ。申し訳ないけど、私のわがまま、聞いてくれないかな?」
「お願いします。行かせてください」
90度頭を下げる。
頭をさげてどうにかなるかはわからなかったけれど、どうしても会いたい。
出来る限り、最後の最後まで、沙帆ちゃんの傍にいたかった。
「……顔、あげてよ」
「じゃあ、行ってもいい?」
「……それはダメ」
頑なに拒否する彼女の姿勢に、少しだけ心が折れそうになる。
ーーでも、俺だって譲れない。どうしても会いたい。会えるチャンスがあるのに、手放すことなんて出来ない。
たった1回。たった1回だけでも会えるのなら、どうしてもその機会を手放したくない。
「ごめんね。友達からの申し出も断っているし……今回は『いいよ』って言ってあげられない」
「お願いします。絶対に笑顔で見送るから」
頭を下げたまま「お願い」と繰り返す。
どれくらいたっただろう。一分ぐらいたっただろうか。
「もう、本当に尚樹っていう子は、」
その声には少しだけ笑いというか呆れというかー…そういうものが含まれていた。
「……わかったよ。その変わり、湿っぽくなるのはダメだからね?」
「本当!?」
「うん、根負けした。こんなに熱心にお願いされたのは初めてだ」
沙帆ちゃんはショルダーバッグからスマートフォンを取り出すと、俺に差し出した。
「当日の待ち合わせ場所と時間、連絡するから、尚樹の電話番号教えてくれる?」
「……うん!」
電話帳を開き、電話番号と名前を打ち込む。SNSの連絡先も入力しようかと思ったが、余計なことはやめておいた。変なことをして「やっぱりきたらダメ」とか言われたら嫌だから。
「ありがとう。当日、空港に着く時間がわかったら連絡するね?」
「あざっす!!」
「あ、ちゃんと事前に、後任の先生に伝えるんだよ。28日は授業をいれないでください、って。もし授業をサボって来たら、追い返すからね?」
「わかってる」
二週間後、もう一度会える。二人きりの時間を過ごすことが出来る。
そしてその日ー…彼女に想いを伝えよう。



