夢を叶えた日、一番にきみを想う

最後の最後まで沙帆ちゃんの授業はわかりやすくて、”生徒として”もう沙帆ちゃんの授業を受けることが出来ないことが、少し残念だった。

「はい、終わり」

授業の終わりを知らせるチャイムが鳴ると、沙帆ちゃんは「よく頑張ったね」と褒めてくれた。

「尚樹を初めて担当した時に、一年間の勉強計画表を作っていたんだけど、その計画よりもずっと進んだよ。本当によく頑張ったね」

沙帆ちゃんは俺をみると、ふわりと笑った。

「一年間、真面目に授業受けてくれてありがとう。尚樹のおかげで、講師としてとてもやりがいを感じたし、楽しかったよ」

担当出来てよかった、と嬉しそうに言う彼女に、「俺も」と返す。

「俺も楽しかった」

一年前まで、勉強とは無縁だった。勉強は”しなければいけないもの”とはわかっていたけれど、”したい”とは思えなかったし、必要に駆られなければ”する”こともほとんどないと思っていた。
大袈裟ではなく、きっと俺にとって今までで一番の幸運だったことは、「代理で沙帆ちゃんが授業をしてくれたこと」だろう。

沙帆ちゃんは俺の言葉に、「よかった」と優しく笑った。

「それじゃ、俺、待ってるから」
「うん。なるべく早く行くね」