「尚樹」
休み時間になり机に突っ伏していると、翔が俺の肩を叩く。
「何?」
「……大丈夫か?」
「おう」
短く返事をして、もう一度突っ伏す。翔は「今日なのか?」と尋ねた。
何が、と聞かなくてもわかっていた。
彼女との関係が切れてしまう日が近づくにつれ、どうしたらいいのかわからず、ただ胸の痛みにひたすら耐えようとする俺を心配して、翔は祐樹に事情を尋ねたことを知っていたからだ。
だから、翔の質問はとても短くて主語すらなかったけれど、「沙帆ちゃんと会うのは今日が最後なのか?」と尋ねたいことは、最も簡単に把握できた。
「違う。明明後日」
明明後日。明明後日になると、もう会えなくなる。
じわっと滲みそうになった涙を、あくびをして誤魔化す。
「どうすんの」
翔は前の席の椅子に後ろ向きで座ると、真っ直ぐ俺を見つめた。
「告白、すんのか?」
「したいけど」
したい。もう会えないかもしれないけれど、それでも自分でも抱え切れないほど大きくなったこの気持ちは、彼女に伝えたい。
でも。
「告白できるチャンスがあるかわかんねえ……」
さすがに塾で告白するのはマズイだろう。
どこで誰が聞いているかわからない。
せっかく想いを伝えるのなら、落ち着いた場所で真剣に伝えたかった。
「二人きりになれる場所とかに呼び出せないのか?」
「二人きりになれる場所……」
「帰り道とか。駅まで一緒に帰るとかできないの?」
「一緒に帰る……」
「最後の授業の日とかにさ。『今までお世話になったお礼で、送らせてください』とか頼めないの? それぐらいだったら、『いいよ』って言ってくれるんじゃない?」
「翔、それ、いいかも……」
「だろ」
俺の言葉に、ニカッと明るく笑う。
沙帆ちゃんのことだ。
「最後に話したい」とか「お礼を伝えたい」とか理由をつけたら、きっと時間を作ってくれるだろう。
彼女の厚意を利用するようで、ほんの少しだけ躊躇われたけれど、それでもどうしても彼女との時間が欲しかった。
休み時間になり机に突っ伏していると、翔が俺の肩を叩く。
「何?」
「……大丈夫か?」
「おう」
短く返事をして、もう一度突っ伏す。翔は「今日なのか?」と尋ねた。
何が、と聞かなくてもわかっていた。
彼女との関係が切れてしまう日が近づくにつれ、どうしたらいいのかわからず、ただ胸の痛みにひたすら耐えようとする俺を心配して、翔は祐樹に事情を尋ねたことを知っていたからだ。
だから、翔の質問はとても短くて主語すらなかったけれど、「沙帆ちゃんと会うのは今日が最後なのか?」と尋ねたいことは、最も簡単に把握できた。
「違う。明明後日」
明明後日。明明後日になると、もう会えなくなる。
じわっと滲みそうになった涙を、あくびをして誤魔化す。
「どうすんの」
翔は前の席の椅子に後ろ向きで座ると、真っ直ぐ俺を見つめた。
「告白、すんのか?」
「したいけど」
したい。もう会えないかもしれないけれど、それでも自分でも抱え切れないほど大きくなったこの気持ちは、彼女に伝えたい。
でも。
「告白できるチャンスがあるかわかんねえ……」
さすがに塾で告白するのはマズイだろう。
どこで誰が聞いているかわからない。
せっかく想いを伝えるのなら、落ち着いた場所で真剣に伝えたかった。
「二人きりになれる場所とかに呼び出せないのか?」
「二人きりになれる場所……」
「帰り道とか。駅まで一緒に帰るとかできないの?」
「一緒に帰る……」
「最後の授業の日とかにさ。『今までお世話になったお礼で、送らせてください』とか頼めないの? それぐらいだったら、『いいよ』って言ってくれるんじゃない?」
「翔、それ、いいかも……」
「だろ」
俺の言葉に、ニカッと明るく笑う。
沙帆ちゃんのことだ。
「最後に話したい」とか「お礼を伝えたい」とか理由をつけたら、きっと時間を作ってくれるだろう。
彼女の厚意を利用するようで、ほんの少しだけ躊躇われたけれど、それでもどうしても彼女との時間が欲しかった。



