わかっていたはずだった。出逢った時から知っていたはずだった。
彼女は大学4年生で、どれだけ長く担当してくれても、その期間は”1年だけ”ということを。
それでも、心のどこかで気づかないふりをしていた。
無条件で傍にいてくれるこの時間が、幸せだったから。ずっと続いて欲しかったから。
彼女と離れるという現実を、どうしても見たくなかった。
後、3ヶ月か。たった3ヶ月かー…。
3ヶ月たてば、もうー…。
現実逃避するように布団の中に潜りこんだ時、ドンドン、とドアが強く叩かれる音が聞こえた。
「尚樹」
部屋の外から、祐樹の声が聞こえる。
「翔と佑真、来たぞ」
返事をせずにいると、足音が近づいてきた。
「なあ、翔と佑真、来たけど」
年があけた元旦の今日、いつも俺の母親が張り切って作ったおせちを二人が食べにやってくるのは、ここ数年のお決まり事になっていた。
「おい、翔と佑真、来たぞ」
「うん」
「母さんも、お雑煮出来たから降りてこい、って」
「いい、腹へってない」
祐樹はゆっくりと俺から布団を剥がす。
急に襲ってきた寒さと明るさに耐えられず、俺は布団を奪い返した。
「何? 体調悪いの?」
「別に」
「じゃあ、なんなの」
「何もないって」
「沙帆ちゃんと何かあったのか?」
「は?」
「ここ1ヶ月ぐらいずっと様子変じゃん。沙帆ちゃんと何かあったのか?」
返事をしないことを、祐樹は肯定ととらえたようだった。
「何、怒られたの? それとも担当変えになったの?」
「違う」
「じゃあ、なに」
「……当たり前だけど、もうすぐお別れなんだなあって」
「沙帆ちゃんと?」
「うん」
もう一度頭まで布団をかぶると、次は祐樹が、俺から布団を奪った。
「だから?」
「は?」
「先生じゃなくなるんだから、自分の気持ち伝えられるじゃん」
「……けど」
それでも、彼女が遠くに行ってしまう事実は変わらない。
ましてや、もう、日本にいないなんて。
そんなの、気持ちを伝えたところで返される答えはわかっているようなものだ。
彼女は大学4年生で、どれだけ長く担当してくれても、その期間は”1年だけ”ということを。
それでも、心のどこかで気づかないふりをしていた。
無条件で傍にいてくれるこの時間が、幸せだったから。ずっと続いて欲しかったから。
彼女と離れるという現実を、どうしても見たくなかった。
後、3ヶ月か。たった3ヶ月かー…。
3ヶ月たてば、もうー…。
現実逃避するように布団の中に潜りこんだ時、ドンドン、とドアが強く叩かれる音が聞こえた。
「尚樹」
部屋の外から、祐樹の声が聞こえる。
「翔と佑真、来たぞ」
返事をせずにいると、足音が近づいてきた。
「なあ、翔と佑真、来たけど」
年があけた元旦の今日、いつも俺の母親が張り切って作ったおせちを二人が食べにやってくるのは、ここ数年のお決まり事になっていた。
「おい、翔と佑真、来たぞ」
「うん」
「母さんも、お雑煮出来たから降りてこい、って」
「いい、腹へってない」
祐樹はゆっくりと俺から布団を剥がす。
急に襲ってきた寒さと明るさに耐えられず、俺は布団を奪い返した。
「何? 体調悪いの?」
「別に」
「じゃあ、なんなの」
「何もないって」
「沙帆ちゃんと何かあったのか?」
「は?」
「ここ1ヶ月ぐらいずっと様子変じゃん。沙帆ちゃんと何かあったのか?」
返事をしないことを、祐樹は肯定ととらえたようだった。
「何、怒られたの? それとも担当変えになったの?」
「違う」
「じゃあ、なに」
「……当たり前だけど、もうすぐお別れなんだなあって」
「沙帆ちゃんと?」
「うん」
もう一度頭まで布団をかぶると、次は祐樹が、俺から布団を奪った。
「だから?」
「は?」
「先生じゃなくなるんだから、自分の気持ち伝えられるじゃん」
「……けど」
それでも、彼女が遠くに行ってしまう事実は変わらない。
ましてや、もう、日本にいないなんて。
そんなの、気持ちを伝えたところで返される答えはわかっているようなものだ。



