「長話しちゃったせいで、他の先生も帰っちゃったし。こんな暗い中、一人で帰らせるなんて心配だわ」
「あ、いえ、大丈夫です。駅から近いですから」
母さんを安心させる為に「平気ですよ」と笑顔を見せる沙帆ちゃんに、母さんは「でも」と言い返す。
「こんなか弱そうな可愛い女の子が一人で歩いていると心配だわ」
「そんな! 本当に大丈夫です。ほら、私、一応成人していますし」
「送ってく」
静かに、でも確かに届いた俺の言葉に、沙帆ちゃんは戸惑った表情を浮かべた。
「尚樹くん、まだ高校生ですし。送っていただいても、彼を一人で帰らせることなんて」
「あら、大丈夫ですよ。この子、今でこそほとんどなくなりましたけど、前まで遊びに出かけて日付が変わる頃に帰ってくること、よくありましたから」
「ほら、ちゃんと送っていきなさい」と促す母さんに「わかってるっつーの」と返し、母さんの横をすり抜けて、沙帆ちゃんのそばに行こうとする。
その時、「頑張りなさいよ」と母さんが小声で囁いた。
「は?」
「さっき渡した千円札で、温かい飲み物でも買ってあげなさい。あんたが思っているより、女性って身体が冷えやすいんだから」
さりげなく叩かれたポケットに、ハッとする。
悔しいし、なんだかうざったい。
それでも、俺の気持ちに気づいた上で、2人きりの時間を作れるようにナイスアシストして、その上お金まで持たせてくれた母さんに、少しだけーほんの少しだけー感謝する。
きっと母さんが言ってくれなければ、沙帆ちゃんはまた送ってもらうことを断っただろうから。
「……ありがと」
感謝の言葉を伝えるには程遠い言い方だったけれど、母さんは何も言わず、なにか励ますように強く俺の背中を叩いた。
「あ、いえ、大丈夫です。駅から近いですから」
母さんを安心させる為に「平気ですよ」と笑顔を見せる沙帆ちゃんに、母さんは「でも」と言い返す。
「こんなか弱そうな可愛い女の子が一人で歩いていると心配だわ」
「そんな! 本当に大丈夫です。ほら、私、一応成人していますし」
「送ってく」
静かに、でも確かに届いた俺の言葉に、沙帆ちゃんは戸惑った表情を浮かべた。
「尚樹くん、まだ高校生ですし。送っていただいても、彼を一人で帰らせることなんて」
「あら、大丈夫ですよ。この子、今でこそほとんどなくなりましたけど、前まで遊びに出かけて日付が変わる頃に帰ってくること、よくありましたから」
「ほら、ちゃんと送っていきなさい」と促す母さんに「わかってるっつーの」と返し、母さんの横をすり抜けて、沙帆ちゃんのそばに行こうとする。
その時、「頑張りなさいよ」と母さんが小声で囁いた。
「は?」
「さっき渡した千円札で、温かい飲み物でも買ってあげなさい。あんたが思っているより、女性って身体が冷えやすいんだから」
さりげなく叩かれたポケットに、ハッとする。
悔しいし、なんだかうざったい。
それでも、俺の気持ちに気づいた上で、2人きりの時間を作れるようにナイスアシストして、その上お金まで持たせてくれた母さんに、少しだけーほんの少しだけー感謝する。
きっと母さんが言ってくれなければ、沙帆ちゃんはまた送ってもらうことを断っただろうから。
「……ありがと」
感謝の言葉を伝えるには程遠い言い方だったけれど、母さんは何も言わず、なにか励ますように強く俺の背中を叩いた。



