知らない人に声を掛けられてから、
私は図書館での座る位置に、
更に気を遣う様になった。
元々なるべく目立たない様な所を
選んでいだが、それに加え、
日毎に座る位置を変えた。
蓮は相変わらず、時間を見つけては
図書館に来てくれる。
私の事を気にかけてくれているのだろう。
その優しさが嬉しくて多分、
私は浮かれていたのだろう。
そんな気の緩みがたたり、
こっちの世界に来て半年、風邪を
ひいてしまった。
最初は喉が痛く、少し咳が出る程度
だった。普段私は、どんなに症状が
軽くても、病院へ行くようにしていた。
親はすぐに来れる距離には居ないし、
悪化して友達に頼むのも気が引けた
からだ。なのに、今の私には
保険証が無い為、受付で色々聞かれる
だろう事や診察費全額負担に
躊躇してしまったのだ。
そこで市販薬でも買えば良かったのに、
看護師の卵が聞いて呆れる。
普段、病院に頼り切っていた為、
その考えに行き着かなかった。
結果、熱が上がってしまい、
せっかく気付いた市販薬すら
買いに行けず、情けない。
とりあえず、寝なきゃと思い、
布団に入った。