さすがお嬢様。

毎日違う物を着れる程、着物を持っているね。

「後は、袴をお召しください。」

「袴?」

「今日は、女学校の服装ですから。」

「ああ……」

足を袴に通して、着慣れないその物に、違和感を感じた。


「次に、髪を結いましょうね。」

志麻さんは、私の髪を懸命に梳いてくれる。

「志麻さんは、私の髪を結う事に、抵抗はないの?」

「どうしてですか?」

「だって、私はお嬢様じゃないし。」

すると志麻さんは、大きなりぼんを、私に付けてくれた。

「ほら、こうするとお嬢様に見えるでしょう。」

鏡の中には、いつもと違う自分がいた。


「あっ、将吾様がいらっしゃいましたよ。おはようございます。」

「おはよう、志麻。」

私は、両手を着いて「おはようございます。」と挨拶をした。