スカーレットの悪女

「いった！えっ？本気のビンタやん！信じられへん、未来の旦那なんやからもっと丁重に扱って」

「あのね、私の理想の旦那サマはパパみたいに紳士で優しくて包容力のある人なの！
私と結婚したいなら、ちょっとはその理想に近づいてくれる！？」

「ほぼクリアしてるやん」



大希は、ここが荒瀬組の本拠地ってことを忘れてるみたいに通常運転。

いや、むしろいつもより扱いにくい。



「……この浮かれポンチめ」

「どんなに罵倒されようと効かへんよ。実莉の全部が愛しいから」



お調子者もいいところだ。


丞さんは大希の威厳がなさすぎて、大きくため息を着きながら頭を抱えている。



「なんか……兄貴と同じ匂いがする。姉妹揃って厄介な男に惚れられてる……」

「ですが、見れば見るほどお似合いですね、実莉さんも誰といる時よりも自然体ですし」



それを見た颯馬はドン引きし、司水さんは反対にお似合いだと朗らかに笑う。



「せやろ」



お似合いと言われたのが嬉しかったのか、司水さんの声に素早く反応した大希。


しかし丞さんが「浮かれんでください、恥ずかしいです」と苦言を呈し、颯馬に失笑されていた。